1. 剰余の定理とは
多項式 P(x) を1次式 x−a で割ったときの余りは、実際に割り算をしなくても P(a) を計算するだけでわかります。これを剰余の定理といいます。
P(x)÷(x−a) の余り=P(a)
これは、P(x)=(x−a)Q(x)+R(Q(x) は商、R は余りの定数)と表したとき、x=a を代入すると (x−a) の項が 0 になり P(a)=R となることからわかります。
1.1. 例題1: 剰余の定理で余りを求める
P(x)=x3−4x2+2x+1 を x−2 で割った余りを求めなさい。
剰余の定理より、余りは P(2) を計算すればよいので、
P(2)=23−4×22+2×2+1=8−16+4+1=−3
よって、余りは −3 です。
2. 因数定理とは
剰余の定理で余りが 0 になる、つまり P(a)=0 となる場合、P(x) は x−a で割り切れるということです。これを因数定理といいます。
P(a)=0⟺P(x) は (x−a) を因数に持つ
因数定理を使うと、3次以上の方程式(高次方程式)の解を見つけたり、高次式を因数分解したりできます。
3. 因数定理を使った高次方程式の解き方
- 定数項の約数の中から P(a)=0 となる a を探す
- 見つかった a を使って P(x) を (x−a) で割り算し、商を求める
- 商が2次式になったら、因数分解の公式 や解の公式でさらに解く
3.1. 例題2: 三次方程式を解く
方程式 x3−6x2+11x−6=0 を解きなさい。
定数項 −6 の約数の中から代入して 0 になるものを探すと、x=1 のとき、
1−6+11−6=0
となり、P(1)=0 です。よって (x−1) が因数なので、P(x) を (x−1) で割ると、
x3−6x2+11x−6=(x−1)(x2−5x+6)=(x−1)(x−2)(x−3)
よって、解は x=1,2,3 です。
4. 因数定理で多項式を因数分解する
方程式を解くのと同じ手順で、高次式そのものを因数分解することもできます。
4.1. 例題3: 因数定理で因数分解する
x3+2x2−5x−6 を因数分解しなさい。
x=−1 を代入すると、
(−1)3+2(−1)2−5(−1)−6=−1+2+5−6=0
よって (x+1) が因数です。割り算すると商は x2+x−6=(x+3)(x−2) となるので、
x3+2x2−5x−6=(x+1)(x+3)(x−2)
(本文中への画像挿入案: /images/math-2/jouyo-insuu-teiri-syoho.png、alt=「多項式の割り算と剰余の定理の関係を示した図」をこのセクションの下に配置すると、P(x)=(x-a)Q(x)+Rの構造が視覚的に伝わりやすくなります。)
5. クイズ
-
P(x)=2x3−3x2+x−5 を x+1 で割った余りを求めなさい。
答えを見る
正解: −11。剰余の定理より、余りは P(−1)=2(−1)3−3(−1)2+(−1)−5=−2−3−1−5=−11。
-
P(x)=x3−2x2−x+2 は x−1 を因数に持つか判定し、持つ場合は因数分解しなさい。
答えを見る
正解: P(1)=1−2−1+2=0 なので因数に持つ。割り算すると商は x2−x−2=(x−2)(x+1) なので、P(x)=(x−1)(x−2)(x+1)。