軌跡と領域【連立不等式・領域の図示】
1. 軌跡とは
軌跡(きせき)とは、ある条件を満たす点 P がすべて集まってできる図形のことです。軌跡を求めるとは、その図形の方程式を求めることです。
1.1. 軌跡の求め方
- 求めたい点を P(x,y) とおく。
- 問題の条件を x,y の式で表す。
- 条件式を整理して軌跡の方程式を求める。
- 必要なら x(または y)の範囲を確認する。
1.2. 例題1:2 定点からの距離が等しい点の軌跡
A(2,0) と B(−2,0) から等距離にある点 P(x,y) の軌跡を求めよ。
解答
∣PA∣=∣PB∣
(x−2)2+y2=(x+2)2+y2
両辺を 2 乗して:
(x−2)2+y2=(x+2)2+y2
x2−4x+4=x2+4x+4
−8x=0⇒x=0
軌跡は y 軸(x=0)。これは AB の垂直二等分線です。
1.3. 例題2:比が一定の点の軌跡(アポロニウスの円)
A(1,0)、B(−1,0) に対して ∣PB∣∣PA∣=2 を満たす点 P の軌跡を求めよ。
解答
P(x,y) として ∣PA∣2=4∣PB∣2:
(x−1)2+y2=4[(x+1)2+y2]
x2−2x+1+y2=4x2+8x+4+4y2
3x2+10x+3y2+3=0
x2+310x+y2+1=0
(x+35)2+y2=925−1=916
軌跡は中心 (−35,0)、半径 34 の円(アポロニウスの円)。
2. 領域とは
不等式 f(x,y)≥0 や連立不等式が成り立つ点 (x,y) 全体の集合を領域(りょういき)と言います。
2.1. 不等式と領域の対応
- 直線 ax+by+c=0 は平面を 2 つの半平面に分ける。
- 具体的な点(例:原点 (0,0))を代入して、どちら側かを確認する。
| 式 |
境界線 |
含む境界 |
| ax+by+c>0 |
直線 ax+by+c=0 |
含まない(破線) |
| ax+by+c≥0 |
同上 |
含む(実線) |
2.2. 例題3:連立不等式の領域
次の連立不等式の表す領域を図示せよ。
⎩⎨⎧x+y≤4x≥0y≥0
解答
- x+y≤4:直線 x+y=4 の下側(原点を含む)
- x≥0:y 軸の右側
- y≥0:x 軸の上側
3 条件すべてを満たす領域は、原点・(4,0)・(0,4) を頂点とする三角形の内部(境界を含む)。
3. 領域における最大値・最小値
線形計画法:領域内で ax+by の最大・最小を求める問題。
方針:ax+by=k とおき、k を動かしながら直線 ax+by=k が領域と交わる位置を調べる。通常、最大・最小は領域の頂点で達成される。
3.1. 例題4:領域内での最大値
⎩⎨⎧x+y≤4x≥0y≥0
の領域内で z=2x+3y の最大値を求めよ。
解答
頂点の座標:(0,0)、(4,0)、(0,4)
各頂点での z=2x+3y:
| 頂点 |
z=2x+3y |
| (0,0) |
0 |
| (4,0) |
8 |
| (0,4) |
12 |
最大値は 12((0,4) のとき)。
3.2. 例題5:境界線の交点が最大点になる場合
⎩⎨⎧x+2y≤62x+y≤6x≥0,y≥0
の領域内で z=x+y の最大値を求めよ。
解答
境界線 x+2y=6 と 2x+y=6 の交点:
{x+2y=62x+y=6⇒x=2,y=2
頂点:(0,0)、(3,0)、(2,2)、(0,3)
| 頂点 |
z=x+y |
| (0,0) |
0 |
| (3,0) |
3 |
| (2,2) |
4 |
| (0,3) |
3 |
最大値は 4((2,2) のとき)。
4. 軌跡と領域の違いのまとめ
| 概念 |
意味 |
表し方 |
| 軌跡 |
条件を満たす点全体の図形 |
方程式(曲線・直線) |
| 領域 |
不等式を満たす点全体の集合 |
不等式(平面の一部) |
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6. クイズ
問題1:A(3,0) と B(0,3) から等距離にある点の軌跡を求めよ。
答えを見る
P(x,y) として ∣PA∣2=∣PB∣2:
(x−3)2+y2=x2+(y−3)2
x2−6x+9+y2=x2+y2−6y+9
−6x=−6y⇒y=x
軌跡は直線 y=x(線分 AB の垂直二等分線)。
問題2:x+y≤3、x≥1、y≥0 の領域内で z=x+2y の最大値を求めよ。
答えを見る
頂点:(1,0)、(3,0)、(1,2)
| 頂点 |
z=x+2y |
| (1,0) |
1 |
| (3,0) |
3 |
| (1,2) |
5 |
最大値は 5((1,2) のとき)。
問題3:点 P が円 x2+y2=1 上を動くとき、P と点 A(3,0) を 1:2 に内分する点 Q の軌跡を求めよ。
答えを見る
P(a,b)(a2+b2=1)として Q(x,y) は PA を 1:2 に内分:
x=31⋅3+2a=33+2a,y=32b
a=23x−3、b=23y を a2+b2=1 に代入:
4(3x−3)2+49y2=1
(x−1)2+y2=94
中心 (1,0)、半径 32 の円。