多項式と除法【商と余り・組立除法】
多項式の除法は、整数の割り算と同じ考え方で行います。「割る式」「商」「余り」の関係を正しく理解し、計算の効率を上げる組立除法もマスターしましょう。
1. 多項式の除法とは
多項式 A を多項式 B で割ると、次の関係が成り立ちます。
A=B⋅Q+R
ここで、Q は商(しょう)、R は余り(あまり)です。余り R の次数は、割る式 B の次数より必ず小さくなります。R=0 のとき、A は B で割り切れると言います。
2. 多項式の割り算のやり方
整数の筆算と同じ手順で行います。次数の高い順に整理してから計算を始めましょう。
2.1. 手順
- 割られる式と割る式を次数の高い順に整理する。
- 割られる式の最高次の項 ÷ 割る式の最高次の項 を計算し、商の最初の項を求める。
- 求めた項と割る式を掛け、割られる式から引く。
- 余りが割る式より次数が低くなるまで繰り返す。
2.2. 例題1
2x3−3x2+4x−1 を x−2 で割ったときの商と余りを求めよ。
解答
2x2+x+6x−2\encloselongdiv2x3−3x2+4x−12x3−4x2x2+4xx2−2x6x−16x−1211
- 商:2x2+x+6
- 余り:11
確認:(x−2)(2x2+x+6)+11=2x3−3x2+4x−1 ✓
3. 組立除法(くみたてじょほう)
x−k の形の一次式で割るとき、組立除法を使うと計算がとても速くなります。
3.1. 組立除法の手順
f(x)=anxn+an−1xn−1+⋯+a1x+a0 を x−k で割る場合:
- 係数を横に並べる:an,an−1,…,a1,a0
- k を左端に書く。
- 最初の係数 an をそのまま書き下ろす。
- 書き下ろした数に k を掛けて、次の係数に足す。これを繰り返す。
- 最後の値が余り、それ以外が商の係数。
3.2. 例題2(組立除法)
2x3−3x2+4x−1 を x−2 で割る。(k=2)
222−341426−11211
- 商:2x2+x+6
- 余り:11
例題1と同じ結果が得られました。組立除法を使うと計算の手間が大幅に減ります。
4. 係数が 0 の項がある場合
多項式に欠けている次数の項がある場合は、係数を 0 として並べます。
4.1. 例題3
x4−1 を x−1 で割る。(k=1)
x4−1=x4+0⋅x3+0⋅x2+0⋅x−1 と考えます。
111011011011−110
- 商:x3+x2+x+1
- 余り:0
よって x4−1=(x−1)(x3+x2+x+1) と因数分解できます。
5. 等式 A=B⋅Q+R の確認
計算が合っているかどうかは、常に A=B⋅Q+R に代入して確認できます。計算ミスが多い単元なので、検算の習慣をつけましょう。
5.1. まとめ
| 項目 |
ポイント |
| 多項式の除法 |
次数の高い順に整理してから筆算 |
| 組立除法の対象 |
割る式が x−k の形のとき |
| 欠けた次数 |
係数 0 として書く |
| 検算 |
A=BQ+R に代入して確認 |
6. 関連記事
7. クイズ
問題1:3x3+2x2−x+5 を x+1 で割った余りを求めよ。
答えを見る
x+1=x−(−1) なので k=−1 として組立除法を使います。
−1332−3−1−110505
余り = 5、商 = 3x2−x
問題2:x3−6x2+11x−6 を x−3 で割った商を求めよ。
答えを見る
組立除法(k=3):
311−63−311−92−660
商 = x2−3x+2=(x−1)(x−2)、余り = 0
問題3:多項式 A を 2x−1 で割ったとき商が x+3、余りが 2 だった。A を求めよ。
答えを見る
A=(2x−1)(x+3)+2=2x2+6x−x−3+2=2x2+5x−1