二項定理【二項展開・C(n,r)の使い方】
(a+b)n を展開するとき、すべて掛け算を繰り返すのは大変です。二項定理を使えば、n が大きくても特定の項の係数をすぐに求められます。
1. 二項定理の公式
(a+b)n=r=0∑nnCran−rbr
展開すると:
(a+b)n=nC0an+nC1an−1b+nC2an−2b2+⋯+nCnbn
ここで、nCr=r!(n−r)!n! は二項係数(にこうけいすう)と呼ばれます。
1.1. 二項係数の性質
| 性質 |
式 |
| 対称性 |
nCr=nCn−r |
| 端の値 |
nC0=nCn=1 |
| パスカルの関係 |
nCr=n−1Cr−1+n−1Cr |
| 全体の和 |
r=0∑nnCr=2n |
2. パスカルの三角形
二項係数はパスカルの三角形で視覚的に確認できます。
n=0: 1
n=1: 1 1
n=2: 1 2 1
n=3: 1 3 3 1
n=4: 1 4 6 4 1
n=5: 1 5 10 10 5 1
各数は左上と右上の数の和になっています(パスカルの関係)。
3. 例題1:展開の計算
(x+2)5 を展開せよ。
解答
a=x,b=2,n=5 として二項定理を適用します。
(x+2)5=r=0∑55Crx5−r⋅2r=5C0x5+5C1x4⋅2+5C2x3⋅4+5C3x2⋅8+5C4x⋅16+5C5⋅32=x5+10x4+40x3+80x2+80x+32
4. 例題2:特定の項の係数を求める
(2x−3)6 の展開式における x4 の係数を求めよ。
解答
a=2x,b=−3,n=6 として、一般項は:
6Cr(2x)6−r⋅(−3)r=6Cr⋅26−r⋅(−3)r⋅x6−r
x4 の項は 6−r=4、つまり r=2 のとき:
6C2⋅24⋅(−3)2=15×16×9=2160
よって x4 の係数は 2160。
4.1. 一般項の公式(重要)
(a+b)n の展開式において br を含む項(第 r+1 項)は:
nCran−rbr
この式で r の値を特定するのが、特定の項の係数を求める問題の解法です。
5. 例題3:定数項を求める
(x−x1)8 の展開式の定数項を求めよ。
解答
一般項は:
8Crx8−r⋅(−x1)r=8Cr⋅(−1)r⋅x8−r⋅x−r=8Cr⋅(−1)r⋅x8−2r
定数項は x0 なので 8−2r=0、つまり r=4:
8C4⋅(−1)4=70×1=70
6. 二項定理の証明の考え方
(a+b)n=n 個(a+b)(a+b)⋯(a+b) を展開するとき、n 個の因数それぞれから a か b を選ぶ。r 個の因数から b を選ぶ選び方が nCr 通りあるので、an−rbr の係数は nCr となります。
7. まとめ
| やること |
ポイント |
| 全展開 |
二項定理の公式をそのまま適用 |
| 特定の項 |
xk の指数を揃えて r を求める |
| 定数項 |
指数が 0 になる r を求める |
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9. クイズ
問題1:(a+b)4 を展開したときの a2b2 の係数はいくつか?
答えを見る
4C2=2!⋅2!4!=6
係数は 6。
問題2:(x+x1)6 の展開式の定数項を求めよ。
答えを見る
一般項:6Crx6−r⋅x−r=6Crx6−2r
定数項は 6−2r=0⇒r=3:
6C3=20
定数項は 20。
問題3:(1+x)10 の展開式における x3 の係数を求めよ。
答えを見る
10C3=3×2×110×9×8=120
係数は 120。