1. 散布図とは
2つの変数 x と y のデータを、横軸に x、縦軸に y として座標平面上に点で表したグラフを散布図(散点図)といいます。
散布図を見ることで、2変数の間にどのような関係があるかを視覚的に確認できます。
2. 相関関係
散布図の点が右上がりに並ぶ傾向を正の相関、右下がりに並ぶ傾向を負の相関、特定の傾向がない場合を無相関といいます。
| 相関 |
散布図の様子 |
例 |
| 正の相関 |
右上がり |
気温と冷たい飲み物の売上 |
| 負の相関 |
右下がり |
勉強時間とゲーム時間 |
| 無相関 |
ランダム |
身長と国語の点数 |
点が一直線に近いほど相関が強く、ばらけているほど相関が弱いです。
3. 相関係数
相関の強さと向きを −1 から 1 の間の数値で表したものが相関係数(ピアソンの相関係数)です。r で表します。
r=sx⋅sysxy
ここで、
- sxy:x と y の共分散
- sx:x の標準偏差
- sy:y の標準偏差
3.1. 共分散の定義
sxy=n1i=1∑n(xi−xˉ)(yi−yˉ)
x と y が同じ方向にずれる(x が大きいとき y も大きい)とき、共分散は正になります。
3.2. 相関係数の性質
- −1≤r≤1 が常に成立
- r=1:完全な正の相関(点がすべて右上がりの一直線)
- r=−1:完全な負の相関(点がすべて右下がりの一直線)
- r=0:無相関(線形の関係がない)
おおまかな判断の目安:
| r の値 |
相関の強さ |
| 0.7≤∣r∣≤1 |
強い相関 |
| 0.4≤∣r∣<0.7 |
中程度の相関 |
| 0.2≤∣r∣<0.4 |
弱い相関 |
| ∣r∣<0.2 |
ほぼ無相関 |
3.3. 例題1:相関係数の計算
次の5組のデータについて相関係数を求めなさい。
| i |
xi |
yi |
| 1 |
1 |
2 |
| 2 |
2 |
4 |
| 3 |
3 |
3 |
| 4 |
4 |
6 |
| 5 |
5 |
5 |
Step 1:平均を求める
xˉ=51+2+3+4+5=3,yˉ=52+4+3+6+5=4
Step 2:偏差・分散・共分散を計算する
| i |
xi−xˉ |
yi−yˉ |
(xi−xˉ)2 |
(yi−yˉ)2 |
(xi−xˉ)(yi−yˉ) |
| 1 |
−2 |
−2 |
4 |
4 |
4 |
| 2 |
−1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
| 3 |
0 |
−1 |
0 |
1 |
0 |
| 4 |
1 |
2 |
1 |
4 |
2 |
| 5 |
2 |
1 |
4 |
1 |
2 |
| 合計 |
0 |
0 |
10 |
10 |
8 |
Step 3:分散・標準偏差・共分散
sx2=510=2⟹sx=2
sy2=510=2⟹sy=2
sxy=58=1.6
Step 4:相関係数
r=sx⋅sysxy=2×21.6=21.6=0.8
r=0.8 なので強い正の相関があります。
4. 相関係数を使う際の注意点
-
相関は因果関係を意味しない:2変数の間に相関があっても、一方が他方の原因とは限りません(例:アイスの売上と水難事故の件数は正の相関があるが、因果関係はなく、どちらも気温が原因)。
-
外れ値の影響を受けやすい:極端な値が 1 つあるだけで相関係数が大きく変わります。
-
線形の関係のみを測る:曲線的な関係(例:y=x2)があっても相関係数は低くなる場合があります。
5. クイズ
-
相関係数 r=−0.85 の散布図はどのような特徴がありますか?
答えを見る
正解:強い負の相関。点が右下がりにほぼ一直線に並んでいる。
-
共分散 sxy=0 のとき、相関係数 r はいくつですか?
答えを見る
正解:r=0。r=sx⋅sysxy=sx⋅sy0=0。ただし標準偏差が 0 でない場合に限ります。
-
「アイスクリームの売上と溺死者数の間に強い正の相関がある」とき、これはアイスが溺死の原因だといえますか?
答えを見る
正解:いいえ。相関は因果関係を示しません。気温という第三の変数(交絡変数)が両方に影響しているため、見かけの相関が生じています。