命題と条件【必要条件・十分条件・対偶・背理法】
公開日: 2026/7/11
1. 命題とは
正しいか正しくないかが明確に判断できる文や式を命題といいます。命題が正しいとき「真」、正しくないとき「偽」といいます。
例:
- 「 は偶数である」→ 真
- 「すべての素数は奇数である」→ 偽( が反例)
「 は大きな数だ」のように、正しいかどうかが人によって違う文は命題ではありません。
2. 条件と真理集合
変数を含む条件 について、 を満たす要素の集合を の真理集合といいます。
例:全体集合 において、条件 :「 は偶数」の真理集合は です。
3. 命題「」の真偽
「 ならば 」という形の命題を と書きます。これが真であるとは、 を満たすすべての要素が も満たすことを意味します。言い換えると、 の真理集合が の真理集合に含まれるということです。
を満たすのに を満たさない例(反例)が1つでも見つかれば、命題は偽です。
3.1. 例題1:命題の真偽
「 ならば 」
のとき は常に成立するので真。
「 ならば 」
のとき だが 。反例があるので偽。
4. 必要条件と十分条件
が真のとき、
- は であるための十分条件
- は であるための必要条件
と言います。
かつ がどちらも真のとき、 と は必要十分条件(同値)といい、 と書きます。
覚え方:「 ならば 」が正しいとき、 があれば が確かに言える( は十分)、 が成り立つなら が必要条件として要求される( には が必要)。
4.1. 例題2:必要条件・十分条件の判定
:「」、:「」
- : なら当然 。真。
- : は を満たすが は満たさない。偽。
よって は の十分条件だが必要条件ではない。 は の必要条件だが十分条件ではない。
5. 逆・裏・対偶
命題 に対して、
| 名称 | 命題 |
|---|---|
| 逆 | |
| 裏 | |
| 対偶 |
ここで は の否定( でない)を意味します。
重要な性質:元の命題と対偶は必ず同じ真偽になります。逆と裏も互いに同じ真偽ですが、元の命題とは異なる場合があります。
5.1. 例題3:対偶を使った証明
「 が偶数ならば は偶数」を証明しなさい。
対偶「 が奇数ならば は奇数」を示します。
が奇数なら ( は整数)と書けます。
これは奇数なので対偶は真。よって元の命題も真。
6. 背理法
ある命題を証明するとき、その命題の否定が真であると仮定して矛盾を導くことで、もとの命題が真であることを示す証明法を背理法といいます。
6.1. 例題4:背理法による証明
「 は無理数である」を証明しなさい。
が有理数であると仮定します。このとき既約分数 ( は整数、)で表せて、
よって は偶数なので も偶数。 とおくと、
よって も偶数、つまり も偶数。これは に矛盾します。よって は無理数です。
7. クイズ
-
「 が の倍数ならば は偶数」の逆を答えなさい。またその真偽も判定しなさい。
答えを見る
正解:逆は「 が偶数ならば は の倍数」で、偽( が反例)。
-
命題「 ならば 」の対偶を書きなさい。
答えを見る
正解:「 ならば 」。
-
:「 は の倍数」、:「 は の倍数」とするとき、 は の何条件ですか?
答えを見る
正解:十分条件。 の倍数はすべて の倍数( は真)だが、 の倍数が必ず の倍数とは限らない( は偽。反例:)。