1. 式の展開とは
多項式どうしのかけ算を計算して、かっこを外した式に整理することを式の展開といいます。
(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd
すべての項どうしをかけ合わせればよいのですが、繰り返し登場するパターンを乗法公式として覚えておくと、計算が速くなります。
2. 主な乗法公式
以下の4つの公式は頻繁に使うので必ず覚えましょう。
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2
(x+p)(x+q)=x2+(p+q)x+pq
2.1. 例題1:乗法公式を使った展開
次の式を展開しなさい。
(2x+3)2
a=2x, b=3 として (a+b)2=a2+2ab+b2 を使うと、
(2x)2+2⋅2x⋅3+32=4x2+12x+9
2.2. 例題2:和と差の積
(x+5)(x−5)
(a+b)(a−b)=a2−b2 の公式より、
x2−25
3. 因数分解とは
因数分解は展開の逆操作です。多項式をいくつかの因数の積の形に変形します。
x2+(p+q)x+pq=(x+p)(x+q)
手順としては「かけてその数、足してその数になる2つの数を探す」ことが基本です。
3.1. 例題3:基本的な因数分解
x2+7x+12
かけて 12、足して 7 になる2つの数は 3 と 4 です。よって、
(x+3)(x+4)
4. たすき掛けによる因数分解
x2 の係数が 1 でないとき(例:2x2+5x+3)はたすき掛けを使います。
ax2+bx+c を (px+q)(rx+s) の形に因数分解するとき、
pr=a,qs=c,ps+qr=b
を満たす整数 p,q,r,s を見つけます。
2本の斜め矢印が交差する形が「たすき」(胸に斜めがけする帯)の由来です。下の図で仕組みを確認してから例題に進みましょう。

4.1. 例題4:たすき掛け
2x2+5x+3
a=2, c=3 より候補を列挙します。
|
左列 |
右列 |
交差の和 |
| 候補1 |
2, 1 |
1, 3 |
2×3+1×1=7 ✗ |
| 候補2 |
2, 1 |
3, 1 |
2×1+1×3=5 ✓ |
よって、
2x2+5x+3=(2x+3)(x+1)
4.2. 例題5:共通因数を先に括り出す
因数分解するとき、最初に共通因数を括り出すと計算が楽になります。
6x2+12x=6x(x+2)
5. まとめ
- 展開では乗法公式を使って計算を速める。
- 因数分解では「かけてこの数、足してこの数」を探す。
- x2 の係数が 1 でないときはたすき掛けを試す。
- 共通因数は最初に括り出す。
6. クイズ
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次の式を展開しなさい:(3x−2)2
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正解:9x2−12x+4。(a−b)2=a2−2ab+b2 で a=3x, b=2 を代入します。
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次の式を因数分解しなさい:x2−3x−18
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正解:(x−6)(x+3)。かけて −18、足して −3 になる数は −6 と 3 です。
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たすき掛けで因数分解しなさい:3x2+7x+2
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正解:(3x+1)(x+2)。交差の和 3×2+1×1=7 となる組み合わせを探します。