約数・倍数・素因数分解【最大公約数・最小公倍数】
整数の性質の学習は、約数・倍数・素因数分解の理解から始まります。これらは高校数学だけでなく、競技数学や情報科学でも重要な概念です。基礎をしっかり固めましょう。
1. 約数と倍数
1.1. 約数(因数)とは
整数 a が整数 b で割り切れるとき、b を a の約数(または因数)といい、a を b の倍数といいます。
a÷b が整数⇔b∣a(b は a の約数)
例: 12の約数を求める。
12 ÷ 1 = 12、12 ÷ 2 = 6、12 ÷ 3 = 4、12 ÷ 4 = 3、12 ÷ 6 = 2、12 ÷ 12 = 1
12 の約数:1,2,3,4,6,12
1.2. 約数の個数を求める方法
素因数分解を使うと約数の個数が簡単に求まります(後述)。
2. 素数と素因数分解
2.1. 素数とは
1より大きい整数のうち、1とその数自身以外に約数を持たない数を素数といいます。
最初のいくつかの素数:2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,…
1は素数ではありません。
2.2. 素因数分解
任意の自然数は素数の積として一意的に表せます(素因数分解の一意性)。これを素因数分解といいます。
手順: 小さい素数(2, 3, 5, 7, ...)から順に割り算を繰り返します。
360=2×180=2×2×90=22×2×45=23×45
=23×3×15=23×3×3×5=23×32×5
割り算の筆算(縦書き):
360 ÷ 2 = 180
180 ÷ 2 = 90
90 ÷ 2 = 45
45 ÷ 3 = 15
15 ÷ 3 = 5
5 ÷ 5 = 1
360=23×32×5
2.3. 約数の個数の求め方
n=pa×qb×rc⋯ (p,q,r は異なる素数)のとき:
約数の個数=(a+1)(b+1)(c+1)⋯
例: 360=23×32×51 の約数の個数
(3+1)(2+1)(1+1)=4×3×2=24 個
2.4. 例題1:約数の個数
問題: 504の素因数分解を行い、約数の個数を求めよ。
解答:
504=2×252=22×126=23×63=23×32×7
約数の個数:
(3+1)(2+1)(1+1)=4×3×2=24 個
3. 最大公約数(GCD)
3.1. 最大公約数とは
2つ以上の整数に共通する約数のうち最大のものを最大公約数(GCD, Greatest Common Divisor)といいます。
記号では gcd(a,b) または (a,b) と書きます。
3.2. 素因数分解を使った GCD の求め方
- 各数を素因数分解する
- 共通する素数について、指数の小さい方を選ぶ
- 積をとる
例: gcd(360,504) を求める。
360=23×32×5
504=23×32×7
共通する素数は 2 と 3。指数の小さい方を選ぶ:
gcd(360,504)=23×32=8×9=72
4. 最小公倍数(LCM)
4.1. 最小公倍数とは
2つ以上の整数の公倍数のうち最小の正のものを最小公倍数(LCM, Least Common Multiple)といいます。
記号では lcm(a,b) または [a,b] と書きます。
4.2. 素因数分解を使った LCM の求め方
- 各数を素因数分解する
- 現れるすべての素数について、指数の大きい方を選ぶ
- 積をとる
例: lcm(360,504) を求める。
360=23×32×51
504=23×32×71
すべての素数の最大指数を選ぶ:
lcm(360,504)=23×32×51×71=8×9×5×7=2520
4.3. GCD と LCM の関係
2数 a、b に対して:
gcd(a,b)×lcm(a,b)=a×b
確認: 72×2520=181440=360×504 ✓
この性質を使うと、片方がわかれば もう一方が求まります。
4.4. 例題2:GCDとLCMの応用
問題: 2数のGCDが12、LCMが180のとき、2数の積を求めよ。
解答:
gcd×lcm=2数の積
12×180=2160
5. 約数の総和
5.1. 約数の総和の公式
n=pa×qb のとき:
約数の総和=(1+p+p2+⋯+pa)(1+q+q2+⋯+qb)
等比数列の和の公式より:
=p−1pa+1−1×q−1qb+1−1
例: 12=22×3 の約数の総和
(1+2+4)(1+3)=7×4=28
確認:1+2+3+4+6+12=28 ✓
6. まとめ
| 概念 |
求め方 |
ポイント |
| 素因数分解 |
小さい素数から割り続ける |
一意的に決まる |
| 約数の個数 |
(a+1)(b+1)⋯ |
各指数に1を加えて掛ける |
| GCD |
共通素数の小さい方の指数 |
小さい方を選ぶ |
| LCM |
全素数の大きい方の指数 |
大きい方を選ぶ |
| GCD × LCM |
=a×b |
重要な関係式 |
ユークリッドの互除法でGCDを効率よく求める方法は ユークリッドの互除法 で解説しています。一次不定方程式は 一次不定方程式とn進法 で詳しく扱います。
7. クイズ
問1. 84の素因数分解をせよ。また、84の約数の個数を求めよ。
正解: 84=22×3×7、約数の個数は (2+1)(1+1)(1+1)=12 個
解説: 84=2×42=22×21=22×3×7。個数は各指数に1加えて掛ける。
問2. gcd(48,72) と lcm(48,72) をそれぞれ求めよ。
正解: gcd=24、lcm=144
解説: 48=24×3、72=23×32。GCDは 23×3=24、LCMは 24×32=144。確認:24×144=3456=48×72 ✓
問3. 2数 a、b の GCD が 6、a=18 のとき、b は何の倍数でなければならないか。
正解: 6の倍数
解説: gcd(18,b)=6 なので b は 6 の倍数。ただし b が 18 の倍数だと GCD が 18 になる可能性があるため、b は「6 の倍数かつ 18 の倍数ではない」という条件も加わります(例:6, 12, 24, 30, ...)。