空間ベクトル【座標・内積・直線と平面の方程式】
平面ベクトルを3次元空間に拡張したものが空間ベクトルです。座標軸が x、y、z の3本になるだけで、演算の規則はほぼ同じです。ただし「平面の方程式」など、空間特有の概念も登場します。この記事では、空間ベクトルの基本から直線・平面の表し方まで体系的に解説します。
1. 空間ベクトルの座標表示
空間内の点 A(a1,a2,a3) に対し、原点 O から A へのベクトル OA を
a=(a1,a2,a3)
と表します。a1、a2、a3 はそれぞれ x、y、z 成分です。
1.1. 基本ベクトル
e1=(1,0,0),e2=(0,1,0),e3=(0,0,1)
これらを使うと a=a1e1+a2e2+a3e3 と分解できます。
2. 大きさ・演算
ベクトル a=(a1,a2,a3)、b=(b1,b2,b3)、スカラー k に対して
∣a∣=a12+a22+a32
a+b=(a1+b1,a2+b2,a3+b3)
ka=(ka1,ka2,ka3)
2.1. 例:2点間の距離
A(1,2,3)、B(4,0,−1) のとき
AB=(4−1,0−2,−1−3)=(3,−2,−4)
∣AB∣=9+4+16=29
3. 空間ベクトルの内積
a=(a1,a2,a3)、b=(b1,b2,b3) のなす角を θ とするとき
a⋅b=∣a∣∣b∣cosθ=a1b1+a2b2+a3b3
垂直条件:a⊥b⟺a1b1+a2b2+a3b3=0(a,b=0)
3.1. 例題 1:内積となす角
a=(2,1,−2)、b=(1,2,2) のなす角 θ を求めよ。
解答
a⋅b=2×1+1×2+(−2)×2=2+2−4=0
内積が 0 なので a⊥b、つまり θ=90∘。
4. 直線の方程式(ベクトル方程式)
点 A を通り、方向ベクトル d に平行な直線上の点 P は
OP=OA+td(t∈R)
と表せます。これを直線のベクトル方程式といいます。
4.1. 成分で書くと(媒介変数表示)
A(a1,a2,a3)、d=(d1,d2,d3) のとき
⎩⎨⎧x=a1+d1ty=a2+d2tz=a3+d3t
4.2. 例題 2:直線の媒介変数表示
点 A(1,−1,2) を通り、方向ベクトル d=(2,3,−1) の直線を表せ。
解答
⎩⎨⎧x=1+2ty=−1+3tz=2−t(t∈R)
5. 平面の方程式
空間内の平面は法線ベクトル(平面に垂直なベクトル)n=(a,b,c) を使って表せます。点 A(x0,y0,z0) を通り n を法線ベクトルとする平面上の点 P(x,y,z) に対して
AP⋅n=0
これを展開すると
a(x−x0)+b(y−y0)+c(z−z0)=0
整理して
ax+by+cz=d(d=ax0+by0+cz0)
5.1. 例題 3:平面の方程式
点 A(1,2,3) を通り、法線ベクトル n=(1,−2,1) の平面の方程式を求めよ。
解答
1(x−1)+(−2)(y−2)+1(z−3)=0
x−1−2y+4+z−3=0
x−2y+z=0
5.2. 法線ベクトルの求め方(2方向ベクトルから)
平面上に2つの方向ベクトル u、v があるとき、両方に垂直なベクトル(法線ベクトル)n を求めるには
n⋅u=0,n⋅v=0
を連立します(数学IIIの外積を使う方法は発展内容)。
6. 点と平面の距離
平面 ax+by+cz+d=0 と点 P(x0,y0,z0) の距離は
距離=a2+b2+c2∣ax0+by0+cz0+d∣
これは平面ベクトルにおける「点と直線の距離」の公式を3次元に拡張したものです。
関連記事として、内積の詳しい計算については「内積とベクトルの応用」を、平面ベクトルの基本については「平面ベクトルの基本」を参照してください。
7. クイズ
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a=(1,0,2) の大きさ ∣a∣ を求めよ。
正解:5 ∣a∣=12+02+22=5。
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点 A(2,1,−1) を通り、法線ベクトル n=(3,0,−1) の平面の方程式を求めよ。
正解:3x−z=7 3(x−2)+0(y−1)+(−1)(z+1)=0 を整理すると 3x−6−z−1=0、よって 3x−z=7。
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a=(1,2,t) と b=(2,−1,1) が垂直になる t を求めよ。
正解:t=0 a⋅b=1×2+2×(−1)+t×1=2−2+t=t=0。