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標本調査と推定【母集団・標本・信頼区間】

公開日: 2026/7/11

📐 公式まとめ

  • 2.1. 標本平均

    Xˉ=X1+X2++Xnn\bar{X} = \frac{X_1 + X_2 + \cdots + X_n}{n}
  • 2.2. 標本平均の期待値と標準偏差

    E(Xˉ)=mE(\bar{X}) = m
  • 2.2. 標本平均の期待値と標準偏差

    σ(Xˉ)=σn\sigma(\bar{X}) = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}
  • 3.1. 中心極限定理

    XˉN ⁣(m, σ2n)(近似的に)\bar{X} \sim N\!\left(m,\ \frac{\sigma^2}{n}\right) \quad \text{(近似的に)}
  • 3.1. 中心極限定理

    Z=Xˉmσ/nN(0,1)(近似的に)Z = \frac{\bar{X} - m}{\sigma/\sqrt{n}} \sim N(0, 1) \quad \text{(近似的に)}
  • 3.2. 正規分布の重要な確率

    P(1.96Z1.96)0.95(95%)P(-1.96 \leq Z \leq 1.96) \approx 0.95 \quad (95\%)
  • 3.2. 正規分布の重要な確率

    P(2.58Z2.58)0.99(99%)P(-2.58 \leq Z \leq 2.58) \approx 0.99 \quad (99\%)
  • 4.2. 95%信頼区間の求め方

    Xˉ1.96σnmXˉ+1.96σn\bar{X} - 1.96 \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}} \leq m \leq \bar{X} + 1.96 \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}}

標本調査と推定【母集団・標本・信頼区間】

統計的な推測は、データの一部(標本)から全体(母集団)の特徴を推し量る考え方です。数学Bでは、標本調査の基本から信頼区間を用いた推定まで学びます。現代社会で広く使われる手法であり、入試でも頻出のテーマです。


1. 母集団と標本

1.1. 母集団(ぼしゅうだん)

調査や分析の対象となる集団全体を母集団といいます。

例: 日本の高校3年生全員、ある工場で製造されたネジ全数。

母集団の平均値を母平均(記号:mm または μ\mu)、標準偏差を母標準偏差(記号:σ\sigma)といいます。

1.2. 標本(ひょうほん)

母集団の一部として実際に取り出したものを標本といいます。標本を取り出す操作を標本抽出(またはサンプリング)といいます。

無作為抽出(ランダムサンプリング): 母集団のすべての個体が等しい確率で選ばれるような抽出方法。偏りのない推測のために重要です。

標本のサイズ(個数)を標本の大きさ(記号:nn)といいます。


2. 標本平均とその分布

2.1. 標本平均

大きさ nn の標本 X1,X2,,XnX_1, X_2, \ldots, X_n の平均を標本平均といい、Xˉ\bar{X} で表します。

Xˉ=X1+X2++Xnn\bar{X} = \frac{X_1 + X_2 + \cdots + X_n}{n}

2.2. 標本平均の期待値と標準偏差

母平均 mm、母標準偏差 σ\sigma の母集団から大きさ nn の標本を無作為抽出するとき、標本平均 Xˉ\bar{X} について次が成り立ちます。

E(Xˉ)=mE(\bar{X}) = m σ(Xˉ)=σn\sigma(\bar{X}) = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}

ポイント: 標本の大きさ nn が大きくなるほど、σ(Xˉ)\sigma(\bar{X}) は小さくなります。つまり、多くのデータを集めるほど標本平均は母平均に近い値を取りやすくなります。


3. 標本平均の正規分布への近似

3.1. 中心極限定理

母集団の分布がどのような形であっても、標本の大きさ nn が十分大きいとき、標本平均 Xˉ\bar{X}正規分布に近づきます。

XˉN ⁣(m, σ2n)(近似的に)\bar{X} \sim N\!\left(m,\ \frac{\sigma^2}{n}\right) \quad \text{(近似的に)}

これを標準化(zz スコアへの変換)すると

Z=Xˉmσ/nN(0,1)(近似的に)Z = \frac{\bar{X} - m}{\sigma/\sqrt{n}} \sim N(0, 1) \quad \text{(近似的に)}

3.2. 正規分布の重要な確率

標準正規分布 N(0,1)N(0,1) において、よく使う確率は次のとおりです。

P(1.96Z1.96)0.95(95%)P(-1.96 \leq Z \leq 1.96) \approx 0.95 \quad (95\%) P(2.58Z2.58)0.99(99%)P(-2.58 \leq Z \leq 2.58) \approx 0.99 \quad (99\%)

4. 信頼区間(区間推定)

4.1. 信頼区間とは

標本平均 Xˉ\bar{X} から母平均 mm を推定するとき、「この範囲に mm が含まれる」という区間を信頼区間といいます。

4.2. 95%信頼区間の求め方

母標準偏差 σ\sigma が既知(またはnが大きく標本標準偏差で代用できる)の場合、母平均 mm95%信頼区間は次の式で与えられます。

Xˉ1.96σnmXˉ+1.96σn\bar{X} - 1.96 \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}} \leq m \leq \bar{X} + 1.96 \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}}

「95%信頼区間」の意味: 同じ操作(標本抽出 → 信頼区間の計算)を100回繰り返したとき、そのうち約95回は真の母平均 mm がその区間に含まれる、という意味です。「95%の確率で mm がこの区間にある」とは意味が違うことに注意しましょう。


5. 例題

5.1. 例題1:信頼区間の計算

問題: ある高校の3年生の数学の得点(母標準偏差 σ=20\sigma = 20 点とする)について、100100 人を無作為に抽出して調べたところ、標本平均は Xˉ=68\bar{X} = 68 点だった。母平均 mm の95%信頼区間を求めよ。

解答:

n=100n = 100σ=20\sigma = 20Xˉ=68\bar{X} = 68 を公式に代入します。

Xˉ1.96σn=681.96×20100=681.96×2=683.92=64.08\bar{X} - 1.96 \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}} = 68 - 1.96 \times \frac{20}{\sqrt{100}} = 68 - 1.96 \times 2 = 68 - 3.92 = 64.08 Xˉ+1.96σn=68+3.92=71.92\bar{X} + 1.96 \cdot \frac{\sigma}{\sqrt{n}} = 68 + 3.92 = 71.92

よって、95%信頼区間は 64.08m71.92\mathbf{64.08 \leq m \leq 71.92}(点)。


5.2. 例題2:標本の大きさと信頼区間の幅

問題: 例題1と同じ条件で、標本の大きさを n=400n = 400 に増やした場合の95%信頼区間を求めよ。

解答:

1.96×20400=1.96×2020=1.961.96 \times \frac{20}{\sqrt{400}} = 1.96 \times \frac{20}{20} = 1.96

95%信頼区間:681.96m68+1.9668 - 1.96 \leq m \leq 68 + 1.96、すなわち 66.04m69.96\mathbf{66.04 \leq m \leq 69.96}(点)。

比較: n=100n=100 のときの区間幅は 71.9264.08=7.8471.92 - 64.08 = 7.84 点、n=400n=400 のときは 69.9666.04=3.9269.96 - 66.04 = 3.92 点。標本を4倍にすると区間幅が半分になります(1/4=1/21/\sqrt{4} = 1/2)。


5.3. 例題3:標本平均の期待値・標準偏差

問題: 母平均 m=50m = 50、母標準偏差 σ=10\sigma = 10 の母集団から大きさ n=25n = 25 の標本を無作為抽出するとき、標本平均 Xˉ\bar{X} の期待値と標準偏差を求めよ。

解答:

E(Xˉ)=m=50E(\bar{X}) = m = 50 σ(Xˉ)=σn=1025=105=2\sigma(\bar{X}) = \frac{\sigma}{\sqrt{n}} = \frac{10}{\sqrt{25}} = \frac{10}{5} = 2

6. まとめ

用語 記号 説明
母平均 mm 母集団全体の平均
母標準偏差 σ\sigma 母集団全体の標準偏差
標本の大きさ nn 取り出した標本の個数
標本平均 Xˉ\bar{X} 標本の平均値
標本平均の標準偏差 σ/n\sigma/\sqrt{n} 標本の大きさが増えると小さくなる
95%信頼区間 Xˉ±1.96σn\bar{X} \pm 1.96 \cdot \dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}

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8. クイズ

1. 母平均 m=60m = 60、母標準偏差 σ=15\sigma = 15、標本の大きさ n=9n = 9 のとき、標本平均 Xˉ\bar{X} の標準偏差はいくらか。

  • 答えを見る正解:55 σ(Xˉ)=159=153=5\sigma(\bar{X}) = \dfrac{15}{\sqrt{9}} = \dfrac{15}{3} = 5

2. 95%信頼区間の計算で使う標準正規分布の値(zz 値)はいくらか。

  • 答えを見る正解:1.961.96 P(1.96Z1.96)0.95P(-1.96 \leq Z \leq 1.96) \approx 0.95 を利用します。

3. 標本の大きさを nn から 4n4n に増やすと、信頼区間の幅はどう変わるか。

  • 答えを見る正解:幅が 12\dfrac{1}{2} になる。 幅は σn\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}} に比例するので、nn が4倍になると 4n=2n\sqrt{4n} = 2\sqrt{n} となり幅は半分になります。
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